安心の先にある、夢・希望・笑顔を。
培養において、細胞に栄養を与える培地の内容はとても重要です。 患者自身の自己血清や、ウシなどの動物血清は、細胞の生育において必要な栄養素がバランス良く含まれているとされ、長年、培地原料として用いられてきました。
ですが、血清培地では、異種抗原による免疫反応や、感染性物質汚染などが発生するリスクが高いため、純粋培養においては無血清培地を利用するのが望ましいとされています。 無血清培地の多くは、様々な動物由来成分を添加したものが利用されています。動物由来成分とは、動物原料から精製・抽出した成分のことで、脳下垂体からの抽出物、血清由来のアルブミン、その他動物組織から取り出したコラーゲンや成長因子などがこれにあたります。
厚生労働省の基準では、これらの動物由来成分にも病原体検査が課せられていますが、現時点での基準に該当しない未知の病原体は検知できないため、その汚染リスクを完全に回避することはできないのが実情です。
NSマテリアルでは、以上のリスクを回避することを視点に、動物由来成分を完全に含まない「AOF(Animal Origin Free:動物由来成分不含有)培地」を使用しています。
AOF培地は動物由来の成分を一切添加していないため、未知の病原体を含む感染物質の混入が最大限に予防されています。 また、微生物に合成させた画一化されたリコンビナントタンパク質の使用により、ロット毎での品質のバラつきを抑え、通常の無血清培地とは一線を画した安全性と安定した高品質を実現しています。
血清成分を添加
× 異種抗原による免疫反応
× 内毒素汚染
× 感染物質汚染 など、多くのリスク
動物原料から精製した成分を添加
〇 厚労省基準はクリア
× 現状の基準に当てはまらない、未知の病原体による汚染リスク
△ 品質のバラつき
人工タンパク質を添加。動物由来成分は一切無添加
〇 厚労省基準クリア
◎ 既知の病原体のみでなく、未知の病原体による汚染リスクも除去
◎ 画一的で安定した高品質を実現
ドナーに対する検査も徹底しています。 細胞を採取するドナーは、安全面を考慮して日本国籍を有する人に限定しています。病歴・渡航歴等に関する問診、およびインフォームド・コンセントを実施して、ドナーとしての適格性を確認しています。
そして、ドナースクリーニングをクリアしたドナーから脂肪組織を採取しています。ドナースクリーニングでは、厚生労働省の生物由来原料基準に独自の安全基準を加えた10項目の感染症試験を行っています。
ドナースクリーニングには、病原体の存在を検出できず、陰性と判定される期間(ウインドウ期)が存在します。そのため、培養前にドナー細胞を一旦冷凍保存し、後日ドナーに対して2度目のドナースクリーニングを実施しています。 上記の工程を経て、安全が確認できたドナー細胞のみが培養に使用されています。
①ドナー候補選定 … ドナー候補者を募集し、適格性と提供の意思を確認しています。
②血液検査 … HIV、HCV等10項目のドナースクリーニングを実施しています。
③脂肪組織採取 … ドナーの皮下脂肪から脂肪組織を採取しています。
④組織分散 … AOF酵素液によって組織の結合を解き、脂肪組織から幹細胞を分離しています。
⑤幹細胞培養 … 再生医療等安全確保法における特定細胞加工物製造許可取得施設にて、AOF培地を使用して、幹細胞培養を実施しています。
⑥幹細胞除去 … フィルターろ過による細胞除去を行い、幹細胞培養液を回収しています。
⑦培養液検査 … 幹細胞培養液に対して、20項目の品質試験管理項目による病原体検査を実施し、これに加えて独自の毒性・安全性試験を実施しています。
⑧培養液完成 … 以上のプロセスにより安全な幹細胞培養液が完成します。
一連の製造工程について、ドナーから出荷までのトレーサビリティーを確保し、安心安全のために徹底した管理基準を設けています。そうした工程を経て、多くの人に自信をもってお勧めできる、NSマテリアルの幹細胞培養液が実現されています。
厚生労働省の「生物由来原料基準」及び、独自の安全基準に適合した運用を実施しています。